『陥穽(かんせい)5』「汝はプシュケ、そして我が名はエロス!」
そんな高揚感に支配されていた。
勢いづいた私は、手の平を美智子の内股へずらしていった。
彼女は太腿をピッタリと張り合わせ、手の侵入を無言で拒む。しかし、ささやかな抵抗は、私を悦ばせるだけだった。
指を押しつけると赤く色づいてしまうような柔らかで白い内腿の肉に、力まかせに手を割りこませていく。
手錠を後ろ手にされた美智子は、バランスを失いかけて、よろめいた。
「あっ!」
バランスを立て直そうとして脚が開き、内股に添えられた私の手によって、かろうじて彼女の身体は支えられていた。
つまりは、あまりにも容易に、私の手が内股へと侵入するのを、美智子は赦してしまったのだった。
私の二本の腕が、スカートの中に差し入れられていた。手の平は内腿にピッタリと張り付いている。
彼女の反応が見たくなって、彼女の表情をじっと見つめながら、ゆっくりと手を上下に動かした。
最初は、その振幅を小さい範囲で。
表情が、何とも言えない艶を帯びてくる。
さらに、なでさする範囲を少しずつ広げていった。
手の平で摩擦するように内股をなで、膝と股間の間を何度も往復させる。
「あっ・・・あっ・・・」
私の手が太腿を這い上がる度に、美智子は断続的な声を発する。
なぜなら、あと数センチでも上に手が達したら、彼女の身体の中で最も敏感であろう部分に当ってしまうからに他ならなかった。
だが、私は執拗に内腿だけをなで続けた。
決して敏感な部分に手が触れてしまわぬよう、細心の注意を払ってだ。
あなたは、私がお手洗いに立った時のことを覚えていらっしゃるでしょうか。ホテルのお部屋で二人きりで居た時です。
恥を承知で告白いたします。あれは用を足すためではありませんでした。
私は、幾重にも折りたたんだトイレットペーパーで、ショーツの汚れを拭い取っていたのです。クロッチに染みこんだ、私が淫らな女である証拠を。
それから、秘唇の内側を丹念に拭いました。ペーパーを介して、ぬるりとした感触が指先に伝わってきます。それだけで秘所が疼き、思わず声が漏れ出てしまいそうになりました。あなたがお部屋でお待ちになられているというのに・・・。
あまりにふしだらな己が肉体に、今も情けないような腹立たしいような感情が芽生えております。
恥ずかしい性汁が染みこんだ薄紙をトイレに流し、私は何事もなかったかのようにお部屋に戻りました。あなたに気づかれてしまうことを恐れながら。それでいて、私の濡れそぼった下着を、あなたに暴かれてしまわないかと、甘美な期待を胸の奥深くに携えて。
(みぃからのメール抜粋)美智子は焦れているだろうか。
早く、その場所に私の手が到達して欲しいと。
胸の内では望んでいなかったとしても、彼女の感じやすい身体は、既にそれを望んでいたのではないだろうか。
そう思えてならなかった。
(『陥穽(かんせい)』END、『弄る(なぶる)』につづく)
※体験を基に描いていますが、一部フィクションが含まれています。
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