短編読み物「栗梅2」 セリオは、毎日のようにブログにコメントをくれる常連である。
夫を会社に送り出してから、スマホでコメントをチェックするのが美咲の日課となった。セリオとのやり取りは、もう一年近く続いている。
もちろん、ブログに感想を書きこんでくれるのはセリオだけではない。肌をさらす面積が広くなるのに比例して、コメントの数も多くなっていった。しかし、「巨乳ですね」、「もっと見せて」といった単純な書きこみが多い中、セリオの長文コメントだけが異彩を放っていた。
セリオは、常に紳士的だった。けれど、コメントには美咲の性的な疼きに触れるような褒め言葉が必ず含まれていた。最も気が利いていて、自分が望む感想を的確に書いてくれるのはセリオだけと言ってもよかった。
今まで男性に容姿を褒められた経験など、皆無と言ってもよい。学生時代、男子からチヤホヤされる美人の同級生を見ていると、自分には一生ありえない別世界の出来事だと思っていた。でも今は、ネットという匿名性の世界とはいえ、チヤホヤしてくれる人たちがいる。
美咲は、もっと褒めて欲しくなって、さらに過激な写真を撮りはじめた。豊かな乳房をさらし、下着から恥毛をはみ出させた姿で、自慰に耽る画像を公開するまでになっていた。
それに呼応して、セリオのコメントも熱を帯び、どんな姿が見たいかを具体的にリクエストしてくれることも多くなった。
期を同じくして、メールも度々もらうようになる。セリオのリクエストを真似る者が増えはじめたのがきっかけだった。