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妄想と欲望のはざまで10

『密会5』

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「目をつぶってくれますか」
私の突然の言葉に、彼女は一瞬きょとんとして、どうしたら良いのか分からないというふうに視線を泳がせる。


トイレから戻った後、すぐにそう切り出されて、面喰っている様子だった。いくらなんでも、キスをする前に目をつぶってと言うほど、私は野暮な男ではない。
そんな誤解を恐れるより、ことが順調に流れはじめて、心のうちでしめしめとほくそ笑んでしまう。

「贈り物があると言ったでしょう」
含羞に濡れた瞳で私を見つめてから、彼女は小さくうなずき、素直に目を閉じてくれる。
「手を前に出して」
言われるまま、彼女が小さな手を差し伸べる。
その手の上に、そっと贈り物を置いた。

「いいですよ。目を開けてください」
彼女はおずおずとまぶたを開き、自らの手の上に乗せられた小箱を見つめている。
「どうぞ開けてください」
私に促されると、彼女は驚きと好奇心を童顔に浮かべて、小さな箱を開ける。

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容姿さえ知らないというのに、勝手に想像の中で描きあげた彼女にふさわしいと思うアクセサリーを、念入りに選んだのだ。ブルーのジュエリーがあしらわれた銀色のネックレスが箱から現れ、美智子の白い指にかけられた。

「気に入ってもらえましたか?」
「はい・・・とても・・・」
彼女は部屋に来て以来、ずっと当惑した表情を浮べていた。だが、その瞬間に初めて瞳を輝かせ、明るい笑顔を向けてくれる。

逢いに来て良かった、と心がほっこり満たされる。この瞬間のために来たのだとも思えた。
けれど、もっと別の表情も見たくなる。特別な相手にだけ見せる笑顔と、特別な相手にしか見せない女の顔。

「ぼくがつけてあげましょう。こちらに来て」
美智子の肩口にそっと触れ、椅子から立たせる。
それから、壁にしつらえられた鏡に彼女を正対させた。私は美智子の後ろに立ち、銀色のチェーンを首に回す。

彼女がセミロングの髪を両手でかきあげ、純白のうなじをさらした。ふわっと髪の薫りが立ちのぼり、私をクラクラと酔わせる。思わず口づけたくなる衝動を抑え、私は鏡で美智子の姿を愛でながら金具を留めた。

「とてもお似合いですよ。思った通りだな」
その言葉に、白い頬が桜の花びらを散らしたように、ほんのりと紅潮する。

「本当に可愛らしい人ですね」
そう言って、羞恥心をさらに煽る。それから、おもむろに彼女の両肩に軽く手を乗せ、鏡をじっとのぞきこんだ。

その時、私が見ていたのは、銀のネックレスに縁どられた首元ではなかった。愛くるしい唇と豊かに突き出した乳房の峰を交互に見比べる。
ふと鏡越しに視線が重なった。その瞬間、彼女が恥じらって目を伏せる。なんともそそるしぐさだった。

(このまま、後ろから抱き寄せてしまおうか・・・)
そう思わずにはいられない。
情熱的な抱擁と口づけ。初めて出逢った男と女にとって、それ以上は望むべくもないロマンティックな光景なのだろう。

しかし、私には別の思惑があった。
感情に流され、事前に準備してきた計画をふいにしてしまうのは、私の好むところではない。

今、わたしは、体中に感じる熱さを押さえきれず、このメールを書いております。
外は、春雷が鳴り響き、篠付く雨が降り注いでおります。まさに、わたしの全てで、その春雷を感じているのです。それは事象でなく、あなたが鳴り響かせたものなのです。

あなたは、プリマヴェーラのごとく、わたしを恋する想いに誘いました。そして、いま、あなたから春雷のごとき衝撃を感じています。あなたの描く「夢想(※)」が、わたしを震わせてやまないのです。

今日もまた、わたしは妄想にふけり、自ら選んだ囚われのマンションに赴くことでしょう。
ぐっすり眠る夫の傍らであなたを想い、指先を乳房に・・・そして、蜜の滴る場所へと滑らせてしまうのです。感じやすい耳にあなたの吐息を受け、背中にあなたの体温を感じながら・・・
また、夜の帳(とばり)がわたしを悩ませます。

(みぃのメール抜粋)


せっかくの二人の記念日。そう、今日は二人にとって特別な日である。ならば、彼女がいつまでも忘れられないような、特別な想い出を演出しなければ。

彼女の肩から手を放し、私は鏡に向かって微笑みかけた。


 ※「夢想」 私がみぃに宛てたメールのタイトル。
  私が彼女に何を求めているのか、その願望を妄想として綴っている。


(『密会』END、『陥穽(かんせい)』につづく)

※体験を基に描いていますが、一部フィクションが含まれています。
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目隠し。。
智さま。みぃさま

暗闇は視覚が閉ざされることで
人の他の感覚が却って研ぎ澄まされる。
だから。私は時々。。

アイマスクをさせる。。
視覚が失われたことで。聴覚。。
私からの言葉に鋭く反応するようになる。

雌犬の嗅覚が雄の匂いを嗅ぎ分けるように。
更には。肌感覚はまるで処女のように
敏感になる。男の手が初めて肌に触れると。

ピクッと驚くような声が出る。いや。。
溜息なのか。吐息なのでしょうか?
闇の中に佇む一人の少女の仕草になる。

さあ。始まりです。私との時間が。
深淵の闇の深い底へ堕ちて下さい。
そこには貴女の新しい世界が待っていますよ。

もう。元へは決して戻れませんので。

[ 2014/03/24 21:30 ] [ 編集 ]
表情と瞳
ken様

今日まさに、みぃとSkypeで話をしていて
「目隠し」が話題にのぼったばかりでした。

視覚を奪われ、緊縛で手足の自由を奪われた状態だと、聴覚や嗅覚、触覚が敏感になりますよね。
また「もう何をされても抵抗できない」という不安と同時に「全てを委ねるしかない」という諦めからくる安心感のような感情も紛れ込みそうです。

私もみぃにアイマスクを何度か使用していますが、個人的には、さほど好みません;
私のサディズムを煽るのは、羞恥や痛みなどで変化する表情です。瞳に宿る情報を読み取りながら、加虐と加減を繰り返すという意味もあります。

みぃに質問しました。
「ken様に貸し出しされ、私がその様子をネットで見ている状態。目隠しされたい?」
みぃ即答
「最初から目隠しして欲しいです」だそうですw
[ 2014/03/25 01:16 ] [ 編集 ]
おはようございます

智 様

おはようございます
昨日は更新がなかったのですね。
私は花粉症にやられてしまってもうダメ…。
微熱と怠さと戦っています。


まだ見ぬ、みぃ様を想い、ブルーを選ぶ智様。
無難なクリアでなくブルーを選ばれたのはみぃ様のイメージでしょうか?

チャイナドレス?もとってもセクシーです。

続きを楽しみにしております。

ps
ブログにコメントいつもありがとうございます。
一番セクハラなのはあのような写真をさらす私ですね(笑
これからもよろしくお願い致します。

[ 2014/03/26 10:26 ] [ 編集 ]
こんばんは
こんばんは

なほこ様

いつもコメントありがとうございます!
花粉症なのですか。お辛いですね。
どうかご養生してください。

「妄想と欲望」の「密会編」が終わり、
昨日は更新をお休みにしました。
その先も書き終えているのですが、
間に何か挟もうかなぁ~と画策しております。
その準備を現在、着々と。

なぜ、贈り物がブルーの石だったのか・・・
青が彼女のイメージではなかったのは確か。
誕生石に関係していたからか、他の理由なのか
色々と考えてみたのですが、思い出せません;
何色にも染まっていない透明な石を選ぶべきだったと、
今更に思えてきましたw

一枚目の画像はミニのチャイナです。
昔、彼女がセルフ撮影してくれたもの。
みぃが座っている画像を探していたら、
OLコスプレと、チャイナドレスがあって、
OLではストーリーに合わないので後者にw

P.S.
>一番セクハラなのはあのような写真をさらす私ですね(笑
>これからもよろしくお願い致します。

「これからもセクハラお願い致します」
と読めるのは私だけ?w
次回は、石部金吉のようなコメント心がけますw

チャイナ ↓
http://blog-imgs-69.fc2.com/o/t/o/otonameeting/20140326231103ed7.jpg
[ 2014/03/26 23:18 ] [ 編集 ]
凄い…

智 様

こんばんは\(^o^)/
毎回、思わず笑ってしまうコメントです。
確かに、私もそう思えてきました。笑
石部金吉などと言わずいつもの智様で
\(^o^)/

チャイナ、とっても良いですね。
セクシー過ぎます。
そして、羨ましいお身体です。
私には色気というのが程遠くって。

紅い口紅に胸元が露わになって見えそうで見えなくて…。
素敵です。

ブルーの石、白い肌のみぃ様でしたら一際目立ってなお、お綺麗になられたのでは…と思います。



[ 2014/03/27 00:06 ] [ 編集 ]
「スンゴイ」と言われたいw
なほこ様

こんばんは~^^
花粉症でお辛い時に、笑っていただけて
恐縮っていうか、どうもスミマセン^^;

「ダイエットのご褒美にチャイナ欲しいです」
と主様に、オネダリされてはいかがでしょ?
今のなほこ様なら、とてもお似合いかと。

ちなみに、ミニのチャイナ・ドレス・・・
現在のみぃには着られないかも?
(スカート丈の問題でなく・・・ごにょごにょ)

なほこ様に触発され、彼女もダイエットすると
申しております。
どっちにしろ・・・
なほこちゃんも、みぃちゃんも可愛いです(よいしょ♪)
[ 2014/03/27 01:11 ] [ 編集 ]
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