『密会1』とある昼下がり。
(本当にここに彼女が来てくれるのだろうか・・・)
私はガラにもなく緊張しながら、みぃがメールで指定してきたカフェのドアを押し開いた。
地下にある店内は、外光を取り入れるための窓がなく、間接照明に照らされ薄暗い。
だが、淹れたての珈琲の香りと、クラシックの心地よい音色が、時の移ろいを忘れさせてくれるような、不思議に落ち着いた空間だった。
実際に彼女を見たことがない私は、無事に逢えるのか不安を抱いたままカフェを見渡す。
なにしろ彼女からは、待ち合わせの場所と時間、そして黒づくめの服で逢いに来るという以外、これといって情報が与えられていなかったのだ。
ところが、すぐに一人の女性に目がとまった。
黒い装いに身を包んだ女性が、椅子に腰かけて文庫本に視線を落としている。どうしてなのか、私は瞬時に、彼女が美智子であると確信していた。急激に胸の鼓動が高鳴る。
彼女がよく言うように、美智子は、どこにでもいるような平凡な主婦に見えなくもない。
がしかし、黒い着衣の胸元を、こんもりと盛り上げる肉の峰に、私は視線を奪われてしまっていた。
楚々とした佇まいに反して、彼女はあまりに豊満すぎる肉体の持ち主でもあったのだ。
(すごいおっぱいだな・・・)
ふいに身体の奥底から、性の疼きが立ちのぼってきた。
ようやく逢えた感動の深さより、オスとしての本能が勝ってしまったのだ。私は黒衣の中まで透かすようにして、彼女の成熟したボディを凝視する。
すると・・・
その気配を察したのか、彼女が伏せていた顔をあげた。
刹那に視線がからみ合う。
その瞬間こそが、まさに二人の出逢いだった。
(つづく)
※体験を基に描いていますが、一部フィクションを含みます。
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智 様
こんばんは
初めて逢う時、とてもとても緊張しますね。
どれだけそれまでにメールや電話の交流があったとしても、「目を合わせ同じ空間にいること」それは特別なモノです。