長かった冬が終わり、春を迎えようとしていた。
入学、卒業、入社、退職、移動、転勤・・・
そんな季節でもある。
みぃのお気に入りの上司も昇進が決まり配置転換。
同僚たちから、上司の移動を嘆く声があがる中、最もがっかりしていたのはみぃだったのかもしれない。
送別会を兼ね、ごく親しい者だけが集まっての飲み会を催すという。これまで何度か見せてもらった写真の仲間だけによる、こじんまりとした会のようだ。
「何を着て行ったらいいでしょう」
なんて話で、みぃはまたソワソワとしている。
上司と飲める機会が、これで最後というわけでもないだろうが、やはり特別な思いがあるようだ。
少なくとも、毎日、顔を合わせることはなくなるのだから。
それは私にしても、最後の好機と言えなくもなかった。
みぃをけしかけ、その気にさせる。
つまりは、上司に抱いてもらいなさいとGOサインを出すラスト・チャンスである。
「上司に抱かれたいと思ってます?」
「こちらにその気があっても、相手にされないと思います」
「おや、その気があるわけ?」
「そういう意味じゃないですけど・・・」
気楽な私からすれば、からかいながらの会話だが、みぃは真剣そのものである。
「じゃあ、あちらから誘われたらどうするの?」
「ん・・・」
みぃは流されやすいところがある。
優柔不断というのか、断り切れないというか、天然風味というか。
以前にもこんなことがあった。
ネットで知り合った人たちとコスプレ・ミーティング。
女性は彼女を含む三人。対して男性は二人。
みぃはメイド姿で参加するという。
ところが前日と当日、女性二人がバタバタとキャンセル。
五人で借りたはずのホテルの一室では、二人の男とメイド姿のみぃだけという状況になった。
最初はご主人様とメイドごっこ・・・
スカートをめくられたり、胸を触られたり。たわいない戯れで終わるかに思われたが、そんなわけもない。
途中から、みぃは首輪を嵌められ、縛られた挙句、上のお口も下のお口もさんざんに使われて帰ってきた。
なんたることだ! 犯罪じゃないかっ!
などと騒ぎたてるまでもない。
メイド姿で複数の男性にご奉仕してみたい。そう期待した上で、みぃ本人も参加しているのだから。
「上司をその気にさせる秘策を教えてあげましょうか」
まるで魔法の呪文でも知っているかのような素振りで、私が語りかける。
「秘策?」
彼女は、小用でも我慢しているかのような、どこか切羽詰まった表情をしている。
「お願いします、教えてください!」
とは、私の手前さすがに言えないのだろう。
知りたくてウズウズしている顔ではあるけれど。
「ヤラせてください!って、男が土下座するパターンがあるでしょう。あれの女性版みたいなものです」
私は上機嫌で話していた。
いくら私がそそのかしても、結局、みぃには実行できないだろうと、たかをくくっていたからだ。
男の土下座はある意味、潔いが見苦しくもある。また成功する確率も高いとは言えない。
けれど、私が教える口説き文句なら、かなり高い確率で相手をその気にさせられる。そんな前置きを、もったいぶって話してから、私は愛弟子に秘策をさずける。
書いてしまうと「んな、アホな!」と言われてしまいそうだが、そもそもそんな文句で口説かれた男が果たしてどれだけいるだろう。
一方、女性で、そんな口説き文句を言った経験がある方は、余程のツワモノ。しかし、ツワモノが言うとあまり効果がない。普段から大人しそうで目立たない、どこにでもいるような人妻が言うからこそ効力を発揮するのだと思っていただきたい。
どう言うかって?
それは次回のお楽しみw
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こんばんは
コスプレ・ミーティング。
なんて過激なミーティング。(゚o゚;;
ビックリしました。
可愛らしい、みぃ様がそういう風に乱れる姿は想像がつかず…でもそのギャップが…ドキドキ。
上司の昇進。配置転換。
私も同じ状況でした!
ご主人様に似たあの方は…あ、上司じゃなかった。(゚o゚;;
違う部署の方なのですけどね、昇進されて県外へ行かれました。
(私の話はどうでも良いですね。)
またまた続きが、気になります。
(*^_^*)